宮古での講座に全力投球しようと考えているのだけど、どんどんいろんな仕事が舞い込んで、なかなか集中して準備ができません。
それでも今日はしっかりMacの前に座って、プレゼンテーションの準備や動画の編集などしています。
動画の編集というのは結構時間がかかって、たとえばエンコードと呼ばれる作業(動画のタイプたとえばDVDの様な高密度のタイプを動作の軽いiphoneで読める形式に返還したりする作業)をすると、かるく30分はそのまま待つ事になります。
ここぞとばかりに、本棚に向かって久しぶりに文庫本を手にしました。
たまたま気になった三田誠広(みた まさひろ)の「僕って何」という作品。
奥付を見ると1980年発行とあるから三十年以上前だ!
三田誠広は、小説家なのに科学の本も書く。
宗教の本も書く。
哲学も経済学も書く。
しかもその文章はすこぶる読みやすい。
わたしの気に入りの作家なのだけど、残念ながら元々の小説の方はあまり気に入らない (´・ω・`)
一つだけ続けて何度も読んでいるのがこの「僕って何」という作品。
学生時代に読んで、ほとんど意味が把握できず…
でもそれは三田誠広のせいではなく、わたしの読解力があまりにも未熟だった所為。
二度目が社会人になって四五年経ってから…少し意味が分かって、少しおもしろく感じた日。
三度目は2007年1月27日。
奥付に期日と一緒にこういうメモがある。
「今年始めて手にした本。しかし読むのはこれで三〜四回目!
学生のころも、その後も読んでいる。
学生の頃は文章のスタイルばかり気にしていたのか、相手が人格をもって迫ってきてくれない。本が一つの紙の固まりでしか無かったのだな。自分も大分成長したな」
約190ページのこの本は、私の平均読書速度「120ページ/h」からすると、約1時間半少しで読み終える。
世界最高のノートパソコンと思っているMacBookAirで動画処理しながら、その待ち時間に読み終えてしまったのだけど、エンコードその他の時間から見て、どうも一時間くらいでは読んでしまったらしい。
速く読みすぎたけど、またなかなかおもしろかった。
その頃の三田誠広の文章の未熟さも見えて来たのだけれど、純粋な学生の感覚も味わえて、よかった。
特に、母親に対する感覚が痛いほど伝わってくる来て、はじめの部分の母親に辛く当たるシーンなんか、苦しくなつた。
それから大学で誰とも人間的な付き合いの全くなかった頃のシーンも苦しくなった。
突然つきあう事になった女性「レイ子」のキャラクターも、いきいきと感じられた。
ふとした事で学生運動に関わりながらも、「僕」は、ぜんぜん学生運動にのめり込む事ができず、結局「一対一の人間関係」としてすごくぎこちなく、まじめにつきあって行く人物。あまりにもぎこちないところが逆に共感を呼んで心地いいな。
学生運動といえば、奥田英朗の「サウスバウンド」は名作だった。
我が沖縄が最終的な舞台。
かつて学生運動に身を染めた父親と、いくつになってもその父に惚れている母親の元で、激しくも純粋に育てられる上原二郎の物語。
作品の表紙も青空に赤瓦にシーサーの絵。
そういえば、奥田英朗の快作「スイミングプール」の主人公も伊良部という沖縄名字の変な医者だったな。
奥田さん、沖縄とどういう関係なんだろう?
欲しい方に譲ります。
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