2010年5月5日

伊藤計劃という男

「伊藤計劃/いとうけいかく」という作家をご存知でしょうか?
SFファン、ミステリーファンなら知っているかと思います。
山から戻る時、本屋に立ち寄り、一目置く作家 宮部みゆきの言葉で
「私には3回生まれ変わってもこんなすごい作品(もの)は書けない」と帯に記された作品を手にしました。
 「虐殺器官」ハヤカワ文庫720円
わたしはミステリーファンなのですけど、外国のものをよく読んでいて、日本人の作家についてはさほど詳しくなくて、伊藤計劃という名はそれまで知らずにいました。
好きな作家 伊坂幸太郎も「夢中になり、嫉妬して、ファンになりました」と評しています。

さっき読み終えました。
すごい筆力です。
これを10日で書き上げたというのですから、大変な男です。

でも、残念ながら若くして亡くなりました・・・2009年3月のことです。1974年生まれですから35才で生をとじたのです。
ガンとの闘いに敗れました。

こういう男がいたのだな。
こういうすごい作品を読めるというのは幸せな事だ。
いろいろな情報が、一人の人間の死で閉ざされるのではなく、広く深く社会に染み渡っていく現代は、やはりすばらしいと思う。

ちなみに「虐殺器官」という作品は、米国特殊諜報機関のシェパード大尉が、ジョン・ポール暗殺の任を負うところから始まります。ジョン・ポールは、いろいろな国を内乱に陥れては姿を消している謎の人物で、彼が見つけ出した「虐殺の文法」によって、集団を虐殺の渦の中に陥れる事ができるという・・・
そんな作品。
女性向けではないですね・・・戦闘シーンなんか生々しいし。

わたしもいつか小説を書いてやろうと思っているのだけど、こういうとてつもない作品を読み続けていた方が幸せなカンジがしてしまう。