ところで、以前、講座の時なのかブログでなのか、オークションに出品したのだか忘れたのだけれど、私が数々読んだ山岳小説の中でベスト3には入れたい作品「神々の山嶺(いただき)」を売った事があります。その上巻がまた出てきました。気に入りの本は数冊持っているので、樹楽庵的には特にめずらしい事ではありません。
片付けっていうのは宝物の発掘みたいです。
今回はこの本の販売です。
作者 夢枕獏は、自ら語っているように「登山はほとんど知らない」にも関わらず、これだけの作品を紡ぎ出してしまっているところが、すごいところです。彼の作品では最高傑作だと思っています。
作品は、事実と虚構を織りまぜながらミステリアスにスリリングに展開していき、推理小説として読んでも全く飽きさせないと思います。
登山に興味のない人も、
「どうして山に登るのですか?」というニューヨーク?タイムズの記者の質問に対して
「そこに山があるからだ! Because it is there! 」
と答えた登山家がいる事を知っているのではないでしょうか?
そう語ったのははジョージ・マロリー。世界最高峰のクライマーです。
※ところで、この答えについて、ずっと私は気に入らなくてなりません。そんな事言ったら、そこに海があったら潜るのか? 火星があったらいくのか? そこに本があったら全部読むのか? そこに世界最大のケーキがあったらどうするんだ?
とか思っちゃう(^^ゞ
なので少し書き加えておきますね。あまり知られていないのですけど、マロリーのその言葉については「怪しい」という議論があるのです。
マロリーの言葉にしてはぶっきらぼうすぎる、というのです。しかも、彼と山を歩きまわった親友が、マロリーはそんな事を言う奴ではない、ときっぱり否定もしているのです。私は当然、ニューヨーク・タイムズの記者の脚色だとおもっています
話を戻します。
彼、マロリーは当時、前人未到のエベレストに三度アタックしています。
そしてその三度目に命を落としてしまいました。
亡くなった場所が山頂から少し下の部分だったので、今でもマロリーが山頂に向かう途中に亡くなったのか、登頂に成功してあと亡くなったのか謎のままです。
彼の遺体は見つかったのですけど、彼が持参していたはずのコダックのカメラは見つからないままでした。
彼が登頂に成功していたら、必ずエベレスト山頂の写真を撮っているハズなので、そのカメラさえ見つかれば、登頂成功・失敗という山岳史上最大級の謎も解けるのです。
さて、夢枕獏の「神々の山嶺」の話。
物語は、エヴェレスト登山隊に参加した日本人カメラマン深町誠が、エベレスト登頂の窓口カトマンズ街で、一台の古いカメラを見つけたところから始まります。
そのカメラ〝BEST POCKET AUTOGRAPHIC KODAK SPECIAL〟が、1924年、エベレスト山頂を目指し帰らぬ人となったジョージ・マロリーが持って行ったカメラではないか、という事で話が一気におもしろくなっていきます。しかも、そのカメラの出所を追ううちに深町が出会ったネパールに住む日本人が、伝説のクライマー羽生ではないのかという謎がからみ合っていくのです。舞台は、カトマンズから世界の最高峰エベレストの南西壁に移り、きっとぐいぐい引き込まれてしまうと思います(^^
ラストのあたり、高い山に登れば登る程、青空のその青は薄くなっていくのか、濃くなっていくのか、その表現が私にはとても魅力的でした。
残念ながら下巻はまだ見つかりません。
なので上巻のみの販売です。
定価各巻1800円を上下巻1800円で手に入ました。しっかり古本ですけど、持っている価値はあると思います。
つまらなかった時にはご返本可です。
さて、また片付けに入ります。
以上。
売れました! 毎度あり。
売れました! 毎度あり。