2010年11月3日

ブレインマップ(BM)その2 発想法と商標登録

ブレイン・マップ(BM)について少し書いたら、興味がある、という方達からいろいろメールが届きました。
私がそこでとりあげた「マインド・マップ」の講座を受講した方達、けっこういるんですね・・・


少し気になるのが、
「発想法に商標登録っていうのは変じゃないか」
という趣旨のわたしの発言についてのメールでした。
なので、少しだけわたしの考えを書いてみます。

「商標登録」そのものが「ビジネスとしての権利を主張します」ということです。

どうして、人間が知的に高まっていく手法に縛りをかけようとするのか?
そもそも、根本的な疑問がその事です。

一緒にしてはいけないものが、例えば「英会話教材」などです。
英会話教材だって、知的に高まっていく手法と言えないわけではないけれど、そこには実際に「品物」という経済コストが十分に掛かっているわけです。それを製造する人たちを特許で保護しないと、コピーがどんどん出まわって、結局、時間とお金をかけて創りだす知的な活動を崩壊させてしまう可能性があります。
出すから、英会話教材が保護されるのは今のところ、必要なことだと思います。
付け加えると、将来的には、それにいろいろなコマーシャルが付随して、無料化されていく流れになるのだろうと予想しているのですけどね。

そういう「物品」でれではなく、純然とした「手法」そのものに縛りをかけてしまう事を問いたいのです。

極端な例で言うと、たとえば「ひらがな」に特許をかけて、それを自由に利用してはいけないのだと主張する団体が出てきたらどうなるでしょう?
日本人の思考過程に「ひらがな」は不可欠です。ですから今更そういうことは無理なのですけど、思考実験として、

「漢字」を略して表記する方法として「ひらがな」が開発され、それが広がり始める過程で、ある人が、それは私の開発したアイディアだ、と主張して商標登録をして縛りをかけた
としした。

それはどういう意味をもつのか?

そもそも、そういう事で、知的活動を縛って良いのか?
アイディアを産む方法があったら、それは広くみんなに伝え、広めていく事が、社会全体が豊かになっていく道ではないのか?

その疑問が、マインドマップの商標化に対する疑問なのです。

そして、そのマインドマップは、よく見ると、数学で取り上げる樹形図(木構造/右図)にとても似ている。

一見違って見えるのは、表面上の事にしか私には思えません。
その有効性はわかるのですけど、それを自分オリジナルと言って「自分の手法が世界に普及している」と言って良いのかな?


「100%これが正しい」と考えるのは、科学的発想法ではありません。
「もしかすると、こういう事も○○%はあるかもしれないな・・・自分の最初に考えたことは間違っているかもしれないぞ」という、別な選択肢はとても大切です。続いて、マインドマップに対しての擁護的な考えを書きます。

話をすすめていく前に、「特許」と「商標登録」には違いがあるので、それに対する専門家の言葉をまず読んでいてください。

*-*-*-*-*
ある商品に関連して商標権が設定されているとします。
その商品について登録商標とは全く関係のない別の名前を付けてその商品を販売することは商標法上は問題ありません。
これに対してある商品に関連して特許権が設定されている場合には事情が異なります。商品の名前を変えてもその商品を販売することができません。その商品を生み出す元になったアイデアが特許権により保護されているからです。
ファーイースト国際特許事務所 弁理士 平野 泰弘
*-*-*-*-*

特許そのものは、もともと「手法」に縛りをかけるものではありませんでしたが、近年のI.T.の発達によって、たとえばプログラム(さっきあげた<ひらがな>と同じ性質をもちますね)に特許が下りたりしたのです。
「マインド・マップ」は登録商標です。
同じ名前で同じ商品を販売してはいけません、という事なのですね。
ずいぶんゆるい縛りといえば、そうなりますね。

マインド・マップの創始者だというトニー・プザンさんは、もしかすると、正しいマインド・マップの描き方を伝えるために商標登録したのだ、という予想があります。
そうやって、自分の手法を正しく伝える事で、いろいろな人達が幸せになっていく、と考えた。
その可能性はとても高い。
結果的に、そうやって社会全体が良くなっていくのなら、すばらしい事だと思います。
この事については、時間がハッキリさせてくれるでしょう。

わたしが十年来描いているブレイン・マップは、それに対して、ぜんぜん普及活動されてない。
興味があるという仲間たちに伝えただけです。
すごく簡単なので、すぐに真似できます・・・シンプル・イズ・ベスト
しかも、この程度のノート法は、とても近い形でいろんな人が試しているはずですから。
もしもオリジナリティーに近いものがあるとすれば、それは、マインド・マップよりも、より脳の思考過程に近い、というのを意識している事くらいかもしれません・・・よくわかりませんけど。

落ち着いたら、整理して、このサイトに出せたらと思っています。


付け加えて置きたい情報として・・・
 わたしが学生の頃お世話になった「K.J法」というカードでの情報整理法があります・・・調べてみると、KJ法も商標登録されていました。
 わたしが、最も注目している「仮説実験授業」は商標登録されていません。

樹楽庵