2011年1月26日

映画「ソーシャルネットワーク」 原題The Social Network

忙しさの中でも相変わらず映画を観るゆとりがあって嬉しい。
体力も気持ちも充実しているのでしょう。
タバコ呑みの方々が「タバコを吸うと体調がわかる」っていうけど、そんな体に悪いことして体調を知るのではなくて、映画とかにいけばいいのにね。

さて、今年度のアカデミー賞に8部門もノミネートされたという「ソーシャルネットワーク」を観てきました。

 会員制の交流サイト「フェイス・ブック」を創設・運営し、巨万の富を手に入れている実在の人物「マーク・ザッカーバーグ」の半生を、デビッド・フィンチャー(ベンジャミン・バトン、セブン、ファイト・クラブなどの監督)が描いた作品です。
 
 アカデミー賞の前哨戦とか言われたりする「ゴールデン・グローブ賞」では最多四部門を制覇しています。


 いろんな映画情報サイトを覗いてみても、「注目度ナンバーワン」とか、いろいろ騒がれていたので、公開前から「これは行かなきゃ」と思っていた作品。


 観た感想を率直に書くと、私は失敗作だと思います。
 決定的だったのは、ラストの弁護士のセリフ・・・
「フィンチャー、あるいはプロデューサーの某、ザッカーバーグからお金もらっているに違いない」と思わせるセリフでした。


 映画の登場人物たちは、訴訟の和解交渉のテーブルから一歩も出ず、物語は進んでいきます。
 つまり、フェイスブックが誕生し、世界中に広がっていく過程を「回想」で見せていくのです。
 その「回想」の過程も、揉め事だらけで、現時点で進行中の「和解交渉」の現場も揉め事だらけですから、映画の構造上もごたごたしています。


 どうして、こんなに騒がれちゃったんだろう?
 何がそんなにおもしろいんだろう?


 わたしは思うに、他所の土地に乗り込んで自分たちの国を作っちゃったという、アメリカ人が大好きな「ヒーロー伝説」としてウケたのだろうな。
 かっこ良くもなく、人間づきあいも下手くそな人物が、恋人にフラれ、挫折していく中で、自分の才能を活かして巨万の富を築く、そんな即物的なサクセスストーリーが受けているのに違いない。


 今のところは、日本での評価もかなり高いけれど、私の予想としては、一時期グンと伸びて、しばらくするとドンと落ちちゃうのだと思う。


 こういう作品がアカデミーの主要部門の賞を取っちゃう可能性があるから、アカデミー賞は困ったものだなと思うのです。と同時に、おもしろいものだなと思うわけです(^^


 観に行く人たちは、ぜんぜん期待せずに行くといいと思います。


 それにしても、注目度ナンバーワンとかいう映画を、こんなに低評価に書いているのは、私といったいどういう人がいるのだろう?
 映画好きで、私と同じ評価をしている人がいたら、情報交換したいものです。
 

2011年1月23日

TED賛歌 ハンス・ロスリング 最高の統計を披露

TEDの魅力が私の周りで、どんどん広がっていくのが見えて嬉しい。
前回書いた、デレク・シバーズも語っていたけれど、社会的運動というのはフォロワーがとても重要なのです。
自分だけの閉ざされた中で楽しむのではなくて、「これはすごい」とか「これいいぞ」と周りに広げていくフォロワーが決定的に重要。


そして私は、TEDの重要なフォロワーの一人です。

今日も、時間をみて七本くらいの講演を聞いていました。
一番よかったのが、




ハンス・ロスリング 最高の統計を披露

でした。

ハンス・ロスリング(Hans Rosling, 1948年 -)は、スウェーデンウプサラ市出身の医師、公衆衛生学者。カロリンスカ研究所の国際保健学の教授および、スウェーデンストックホルムに拠点を置くギャップマインダー財団のディレクターを務める。


 ちなみに最もインスパイアされなかったのは、ジェームズ・キャメロンの講演です。キャメロンは、タイタニックでアカデミー賞を総ナメにした映画監督です。最近では「アバター」で興行収益の記録を更新して話題になりました。けれど、映画中毒の私から見ると、特に予測以上の事はなく、「まあまあおもしろい」程度の話としてしか受け取れませんでした…残念。

 話をハンス・ロスリングに戻します。
 こんな元気なおじいちゃんは、見てこと自体嬉しいのですけど、話す内容が秀逸なんです。
 これだけ見事に統計の威力を見せてくれるのはなかなか無いと思います。
 ちなみに私の卒論は「学力構造の統計分析」なので、統計の世界には比較的多く触れてきた方です。わたしの関わっている仮説実験授業でも魅力的な統計やグラフはいろいろ目にします。仮説実験授業の生みの親である板倉聖宣自身が、とても刺激的かつ魅力的なグラフをたくさん描いています。
 しかし、世界には優れた人物がゴロゴロしているのですね。
 ハンス・ロスリングおじいちゃんは、世界中でもトップクラスの統計分析エキスパートです。スウェーデンのおいしゃさんなんですけど、国連の統計分析にも関わっていて、何より、統計データ・統計分析の持つ力を庶民に伝えるための具体的・世界的活動をしています。世界的に広める活動という意味でとても重要な人物です。
 興味のある方は、下のサイトから御覧ください。



2011年1月22日

TEDに注目 その2 デレク・シヴァーズ

TEDの反応がなかなかよいようで嬉しいな。
こういう超上質などんどん広まった方がよいと思います。

 もしかするとTEDも、これからいろいろな手垢がついたり利害が絡んだりして怪しい動きになっていく可能性もあります。
怪しいなと思い始めた時には、きっと世界中の賢い人びとが警告を発し始めるのです。そしてできれば、われわれ自身が、TEDの講義で賢くなって、「こいつが言っているのはかなり怪しい」と気づけるようにもなりたいものです。


とこで、私が初めてTEDの講演(TED conference/ テド・カンファレンス)に触れたのは、デレク・シヴァーズの「社会運動はどうやって起こすか」という内容です。

これは面白かった。
必見だと思います。
日本語字幕付きの動画も見つかりました。
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/derek_sivers_how_to_start_a_movement.html
わずか3分の動画で社会的な運動・キャンペーンの広がり方を見せてくれたのです。
ホントにたったの3分ですよ(^^

コンサート会場でお馬鹿なダンスをしている一人の男から、映像はスタートし、その広がりを分析してくれます。

英語のレッスンはここ2〜3ヶ月くらい「DVD英語字幕+日本語音声」でたのしんでいたのですけど、これからはリスニングを鍛えるために、TED中心でいこうと思っています。
そうこうするうちに、TEDの日本語字幕サイトも見つかりました。
興味のある方は、どうぞ。
http://www.ted.com/translate/languages/jpn

インスパイアされた内容をぜひ紹介し合いましょう(^^





2011年1月19日

TEDに注目 たとえば、漫画家 パトリック・シャパットの凄さ

TED(テド)をご存知でしょうか?
年に一度、超一流の人たちを集めて四日間連続の講演会を主催しているグループです。
名称は、Technology Entertainment Design (技術・たのしみ・立案)の略になっています。


iPadに専用のソフトが配信されていたので偶然知ったのですけど、基本的にはYouTubeで観ることができる内容です。
講演といっても、長くて15分とか、短いものでは4分くらいのものもあります。
ですから、あいている時間に見るのにとてもマッチしています。


幾つも見てきたのですけど、さすがに唸らせる内容がいっぱいです。
今日見たのは、風刺漫画家のパトリック・シャパット〈写真右〉の講演です。


http://www.ted.com/talks/lang/jpn/patrick_chappatte_the_power_of_cartoons.html

笑いながらも、最後には、自然に身が引き締まる話をしてくれています。

興味のある人は、「TED」というキーワードでどんどん拾うといいですよ。
英語だけの内容もありますけど、字幕付きも出ています。

ネット社会に「ノー」を突きつける人たちは、もうだいぶ、少なくなってきたのですけど、確かに、いろいろな問題はありです。けれどこういう上質な内容が、自由に手に入る社会になって来たことは、人間の歴史数千年のレベルで見ても、もっとも大きな革命だと思えてなりません。

2011年1月18日

すごい勘違い?  映画「恋はデジャ・ブ」原題: Groundhog Day(グラウンドホッグディ)

わたしのブログを読んで、よくメールをくれるMさん(面識はナシ)と、グリーン・カードのアンディ・マクダウェルの話になりました。
Mさんによるとアンディ・マクダウェルとトム・ハンクスの「恋はデジャ・ブ」という面白い作品があるのだよ、との事。
? ?

わたしの記憶によと、その作品はアンディ・マクダウェルとビル・マーレイ(ゴースト・バスターズの主人公)の共演作。


Mさんに、それは勘違いで、ビル・マーレイでしょ、と書くと、いやいや、確かにトム・ハンクスだという。
でも、トム・ハンクスはこれ(写真・左)で、ビル・マーレイはこれ(右)でしょ。
ずいぶん違う、と思う…




と思ってよくみると、少し似てるのかな、という気がしてきた。

最近のトム・ハンクスはこう(下左)で、恋はデシャ・ブに出ているビル・マーレイはこう(右)だもの。




















でも、トム・ハンクスは二枚目として売り出してて、ビル・マーレイはコミカルさで売りだしていたわけだから、トム・ハンクスファンは怒るよね。

さて、似てるかどうかはその人の感覚に任せるとして、Mさんおすすめの「恋はデジャ・ブ」をこれから観ようと思います。



2011年1月16日

たのしい授業の基礎知識 「たのしさと基礎的な知識について」 板倉聖宣

久しぶりに開いた仮説実験授業のガリ本(樹楽庵注:ガリ版印刷で作成された本という歴史的な意味は薄れて、今では仮説関係の仲間たちで読む研究誌のようなものを意味する)で、自分が線を引いていたところを見つけて読みいってしまいました。

1990年に板倉先生が初めて沖縄に来てくれた時、話をしてくれた内容です。
2001年の仮説実験授業冬の大会の記念ガリ本に掲載されているので、仮説実験授業研究会の方達で、興味のある人はそれをたどるとよいと思います。

 ーーーーー


板倉 「<意欲、たのしさ>の他に、もう一つ重要なものが、ある種の知識の定着です。たとえば、都道府県の名前なんかです。これは、日本だけでなく、世界的にいえることなのですが、進歩的な教育というのは<知識>というものを軽んずる傾向があるです。つまり昔は知識を無理やり押しこんできたでしょう。だから、進歩的な教育者は<知識よりも考えることを重視する>っていうんですね。<暗記はいけない><学校教育の基本は子どもたちを考えさせる事だ>という考えが強いんです。
 ボクは、そう考えない。
 考えることはすごく大事ですよ。それは大事なんです。でもそれと同時に<大切なことを覚えてしまう>という事も大事なんです。
 沖縄がどこにあるかなんて、それは興味があれば辞典で調べるさ、なんて言ったってね、話の途中にいちいち本を引っ張っていいられるけないですよ。都道府県の全部は知らなくていいけど、でもかなりのものは知っていたほうがいい。でなくては話についていかれない。そういう知識は覚えちゃった方がいいんです」

 ーーーーー


もう二十年以上も前の話になるのです。
もしかすると、私自身が「知識は後からゆっくりついてくる」的な発想をしていたのではないかなという気がします。

重要な知識は覚えちゃえばいい。
しかも「重要な知識」は、たのしく覚える事がきっとできる。
こういう所から見ても「たのしい授業」「仮説実験授業」が未来の社会を切り開く根幹だと思えてならない今日この頃です。

2011年1月14日

売店樹楽庵 ブロワー 800円!

ものを探すのに、人生のかなりの部分を消費している私は、開き直って、探すより買っちゃえと、同じものを買うことが多々あります。

本にしても、DVDにしても(これは、ある事を知らずに買っちゃってるのが多いけど)、工具などもそう。

で、今日、久しぶりに愛車の大掃除をしていたわけですよ。

ブロワー(掃除機の逆/強力な風でホコリなどを吹き飛ばすもの/大工さんたちが隙間に入ったノコギリくずなんかを吹き飛ばしたりするのに使ったり・・・) は前に買ってあったのに、見つからないので新しいのを買って来て、掃除スタート。

気持いいように、車内のいろんな隙間の細かいホコリを吹き飛ばして、フキンで拭いてたんですね。
パネルの隙間とか、エアコンの吹出し口とか、ドアポケットの中とかにたまったホコリが面白いように吹き飛ばされて出てきます。

すっかりきれいになって、無事終了。

で、片付けの段階になって、靴箱のそばの箱に入れようとしたら、その横からもう一台のブロワーが出てきました(・・)

必要な方はいませんか?・・・中古ですけど。

掃除の時だけではなくて、巨大な風船(運動会とか)ふくらませたり、部屋の中のホコリを吹き飛ばしたりする時に使えます。
買ったときは、確か2900円くらいだったような記憶があります。

売店樹楽庵 ブロワー 800円!
kiraku21@gmail.com まで


毎度ありがとうございます・・・売れました



映画 グリーン・カード DVD

大好きな映画をまたDVDで鑑賞しています。


名作「グリーン・カード」

作品の雰囲気的なものを言えば、…
You've got mail.ユー・ガット・メール
に近いものがあるかな。

初めて見たのは、グリーン・カードの意味も知らなかった頃でした。
映画に登場する主人公、アンディ・マクダゥエルが、園芸家で、エコロジー活動にも積極的な女性を演じているので、てっきり、植物の「グリーン」からとったのかなと思っていたくらいです。



アンディ・マクダウェルは、大好きな女優さんです。
もう二十年前の作品なんですね、びっくりです。
今、どういう作品に出ているんだろう。
なかなか日本に来ないなぁ・・・

と気になって、別なサイトを覗いてみると、けっこうコンスタントに出ていたんですね。

http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=45512

によると、グリーン・カード後も・・・


パトリシア・コーンウェル 捜査官ガラーノ (2010) 出演 モニーク・ラモント検事
パトリシア・コーンウェル 前線 (2010) 出演 モニーク・ラモント検事
ラスベガス、闇の子供たち (2008)<未> 出演
マイ・プライベート・ロンドン (2007) 出演
バーンヤード/モーモー牧場は大騒ぎ!? (2006)<未>  声の出演 エッタ
ビューティー・ショップ (2005)<未> 出演
The Last Sign ザ・ラスト・サイン (2005)<未> 出演
ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル (シーズン7) (2002~2003) ゲスト出演
フォルテ (2001) 出演
ハリウッド・クライシス (2001) 出演
ディナー・ウィズ・フレンズ (2001)<未> 出演
戦場のジャーナリスト (2000)<未> 出演
ゴンゾ宇宙に帰る (1999) 出演 ジェリー・スナイブス
ハリウッド・ミューズ (1999) 出演
ラスト・チャンスをあなたに (1998)<未> 出演/製作総指揮
エンド・オブ・バイオレンス (1997) 出演
マイケル (1996) 出演
クローンズ (1996) 出演
想い出の微笑(ほほえみ) (1995)<未> 出演
ショート・カッツ (1994) 出演
バッド・ガールズ (1994) 出演
フォー・ウェディング (1994) 出演
恋はデジャ・ブ (1993) 出演
ザ・プレイヤー (1992) カメオ出演
ルビー・カイロ (1992) 出演
男が女を愛する時 (1991) 出演
グリーン・カード (1990) 出演 ブロンティー

一時期、よく呼んでいたミステリー、パトリシア・コーンウェルの作品が映画化されて、それにも出演しているんですね・・・知らなかった。


さて、グリーン・カードのもう一人の主人公 ジェラール・ドパルデュー。
名優です。

かつて書いた「あるいは、裏切りという名の犬」の悪役の刑事を演じた時も、すごい迫力でした。
若い頃は非行に走り、刑務所に入った事もあるというくらいの筋金入り。
少し、タイトルから離れますけど、この「あるいは、裏切りという名の犬」という映画のタイトルは、原題と全く似ていない言葉になっているのですけど、邦題としては、わたしはベストに入れたいくらいの名訳だと思っています。

さて、グリーン・カード。
中身はコミカル系です
ドパルデューの演技にドキドキしたり笑ったり、えー、とショックを受けたり・・・どんどん引きこまれてしまいました。

特に、マクダウェルの友人の家族の前で弾くピアノのシーンは秀逸です。

この作品はあまりお金がかかっていない作品の筆頭なのかもしれないな。
しかも、名作だ! とか言っているのは、映画ファンでは私くらいかもしれません。

でも、騙されたと思って観てみませんか。

きっと、多くの人は、「観てよかった」って言ってくれると思います。

2011年1月10日

映画 雨に唄えば 原題Singin' in the Rain DVD

ずいぶん前に買っておいたDVD「雨に唄えば」のパッケージをやっと開きました。
1957年公開の米映画です。
この写真や、下のサイトにある歌のシーンなど、多くの人が知っている作品だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=WttNlbaECDY&feature=related


有名すぎる程有名なのですけど、映画好きの私もまだ観たことがありませんでしたから、きっと、多くの人がまだなんでしょう。

正直に書きましょう。
「一生のうちには観たほうがよい作品の一つ」です。
ミュージカルは苦手だという人にもおすすめです。

サウンド・オブ・ミュージックの場合もそうなのですけど、しっかりしたミュージカル作品は、意味なく歌い出すことはありません。しっかりしたストーリーの中で、必要な部分をミュージカルにしているだけで、踊ったりしているシーンは1/10もないと思いますよ。

中身がわかると困るので、中身については書きませんけど、サイレント映画の時代、映像に声をのせた今のようなトーキシステムに映画界が変わろうとする頃の映画人たちの物語です。
サイレント時代、地位も名声もある大女優が、実はその「声」がキーキー声で、とてもトーキの映画には耐えられない。その大女優のわがままに翻弄されながらも、恋を温めている男優と女優。そして、その周りの映画人たちの物語。
差し障りなく書けば、そんなところでしょうか。
映画の歴史を観ているような作品になっています。
もちろん登場人物たちはサイレントではなく、ちゃんと声を出しますからご心配なく。

時に笑い、時にニコニコしながらあっという間に時間が経ってしまうことと思います。

大脱走の時にも書いたのだけど、昔の映画はホントに「長撮り」なんですよ。ショート・ショートでシーンをどんどん繋げるのではなくて、一つのシーンを殆どカットなし(つなぎ目なし)で演じたりしています。
ダンスもすごくうまい。
ファッションも、そんなに古いというカンジはしません。

今は、著作権が切れているので、300円とか500円とかでDVDが手にはいると思います。
今年は、昔の名作をじっくり味わう年にしようかな。

2011年1月9日

世界から争いは無くなるのか? 無くなるとしたいつ? カール・ポパー

私は政治的にすごく穏やかな人間だと思います。
学生運動も経験なければ、選挙運動で誰かに加担する事もありません。
しかし、政治などどうでもよいと考えているわけではなく、社会が良くなっていく事そのものに深く関心を持っています…

ところで、年末からカール・ポパーを追いかけています。
 ポパーは1902年、つまり第一次世界大戦後のオーストリア・ウィーンに生まれました。
第一次世界大戦が1914年に始まります。つまり彼は、人類が初めて体験した世界大戦の嵐の中で過ごし、戦後は、失業者があふれた街、彼の言葉で語れば「飢餓が日常化し、内乱が風土病と化した、この上なくみじめな国」で暮らしてきたのです。
 彼の思想・哲学はそういう土壌で花を開きました。
 さらに、その戦後の混乱の中、隣国ドイツでヒトラーが勢力を拡大し、オーストリアもナチス・ドイツに併合されていく事になります。
話はわたしの大好きな映画の話になりますけど、最近ブログで紹介した「サウンド・オブ・ミュージック」はその混乱の渦中にいたトラップ一家の物語なのです。

彼はユダヤ人です。
ナチスドイツの魔の手を逃れてオーストラリアに飛び、のちにイギリスに渡ります。彼の思想・哲学はそこでさらに深みを増していきました。

つまり彼は戦争と平和の中で深く思想して来た人物なのです。

さて、彼の自伝「果てしなき探求 知的自伝」岩波現代文庫 にこういう迫力ある言葉があります。【 】の中にどういう言葉が入るか、予想してみませんか。

紛争の無い人間社会は【           】
                               同書下巻p26



彼はこう言っています。
「紛争の無い人間社会はありえない」

「早く世の中から争いごとがなくなりますように…」
「全ての争いの無い社会がおとずれますように…」
そういう祈りのような言葉をテレビや本で見聞きしてきましたから、私は、ここまできっぱり語るポパーに驚いてしまいました。彼のような人こそ、平和を希求してやまない人物だろうと思ってもいたからです。
彼はさらに続けます。
「そういう社会は友人の社会でなく、蟻の社会であろう」

蟻は決められたルールに従って秩序よく社会生活を送っています。蟻のような社会を幸せだと呼ぶ人はほとんどいないでしょう。
彼はどうしてこうまできっぱりと「紛争のない人間社会はありえない」と言い切っているのでしょう?

その理由としてあげていることを私の言葉を少し加えて説明してみます。

彼は紛争のない人間社会はありえない、という理由を軽いジャブとして
①きわめて善良な人びとでさえ、きわめて不完全な状態でいるのだから
②いつもの時代になろうとも、われわれはその<社会の中の物事を全て知っている>という状態には成り得ない…そのため、誤りをおかしてしまうのだから
こう書いています。
そして「しかしそれは本質的な理由ではない。それよりももっと重要なのは…」と進め、その本質的な理由は
「解決しえない諸々の価値の衝突が人間社会には常に存在するからだ」と結論づけているのです。

いつの時代になっても例えば「わたしはあの人が好き、なのにあの人は別な人が好き。どうしたら解決すのだろう?」というような問題はたくさん起こっていくのです。
「挑戦する事が大切だ」と考える人達も、「日々安泰で波風たたない人生こそ善し」と考える人達もいます。そういう対立は社会の中で起こってしまうのが必然なのだというのですね。キリスト教至上主義もイスラム教至上主義もあるのです。
わたしは科学が進んでいくなかで、宗教も淘汰されてそういう対立は無くなると予想しているのですけど、たとえ宗教上の対立が無くなっても、別な価値観による対立は存在します。
ポパーは、突き詰めて考えた結果、人間に争いはつきものだと考えるの至ったのですね。

そして面白い事に、彼は
「もしもたとえば、紛争の無い社会が達成されたとしたら?」
という事にも言及しています。

こうです。
「たとえそのような社会が達成できたとしても、その達成によって消滅させられてしまうであろうような最も重要な人間的価値が存在する。それゆえ、われわれはそのような社会をもたらそうという企てを思いとどまるべきである。われわれは価値または原理の衝突の実例に出会う。この実例は諸価値、諸原理の衝突が価値あるものでありえ、実際、開かれた社会にとっても不可欠である事を示している」

すごい話ですよね。
よくわからないという人の為にわたしの解釈を加えます。
ポパーは「紛争のない社会にしようなんて事をしてはいけない。それは、最も重要な人間的価値を奪ってしまう事になるのだ」というのですね。
人間はある意味、いろいろな困難さえ強引に突破して生きていく生物です。
ミミズには人間のようなチャレンジ精神はありません。蟻にもありません。だから彼らはほとんど今の状態から大きな進化をせずに社会構造を維持しているのです。
人間の社会はどんどん進化しています。
国がくっつくことも無くなる事もある。地球から飛び出て火星にまで行こうとさえしているのです。「紛争」さえも起こしてしまうくらいのパワーでいろいろなものごとを突破して生きて行こうとするのが我々人間なのだ。失敗もしてしまうのだ。だから失敗さえも許容するシステム・争いも許容する社会の中で生きていくべきだ」というのですね。そしてそれは、彼のいう「開かれた社会」つまり、縛られて暮らすのではなく、それぞれの価値の中で自由に暮らしていける社会の為には必要な事なのだ、というわけです。

では、紛争をそのままにしておけというのか?
それについてポパーはこう語っています。
「われわれは確かに紛争を減少させるべきである」
紛争、争いは少なくしていく努力をしよう。しかし間違ってはいけない、紛争は完全に無くなることはないし、そうしてしまったら、人間のとても重要な価値を無くしてしまう事になるのだ。

このポパーの議論には反論もあるかもしれません。
彼の「反証可能性を持って科学と呼ぶのだ(樹楽庵補:実験によって正しいのか間違っているのかはっきりするような判断基準が示されていないものは科学ではない。真偽怪しい議論だ)」という言葉を借りれば「ポパーさん、そんな事言ったって、それが正しいのか間違っているのか反論できるような判断基準がないじゃない。私はそう思う、私はそう思わない、というような議論なのだから、真偽なんてわからないよ」と言えばよいのです。

確かにそうです。
しかし、強烈なポパーという思想家の言葉に、また歯車が一つ進んだ気がしています。

2011年1月8日

ランディ・パウシュ「最後の授業」その2

ランディ・パウシュの「最後の授業」を最後まで観ました。

どうしてこんなにいい動画に今まで気がつかなかったのだろう、と悔やむのではなく、今観る事ができてホントに良かった、と感じています。
私が簡単にベスト・セラー本を手にするようなタイプの人物なら、きっと二三年前に、本を手に入れて感動していたに違いないでしょう。
けれど、本でなく、動画を直接観ることができたのは、とても幸いだったと思う。活字の良さは十分に知っているけれど、活字からランディ・パウシュの講演の感覚・感情といったものを受け取るのは難しい。
たとえは飛躍してしまうかもしれないけれど、曲なしで歌詩を読んで感じる感覚と、曲の流れの中で詩を味わうこととの違いに近いものがあるとおもうから。
本はたしかに素晴らしい。
何度も味わえて、線が引けて、どこでも取り出して、自由な姿勢で読めるから。
でも、本を読んだ人たちにもぜひランディの動画を観てもらいたいと思う。

死を前にして、残された人たちに笑いの中から勇気を伝える事ができるというのは、とにかく大した人物だ。

来週、たのしい授業・仮説実験授業の仲間たちとのサークルがあるのだけど、この動画をもっていって、皆に観てもらいたいと思っている。授業で子どもたちにも使える気がするから。

ランディは最初の方で、ここでは宗教の話はしない、ガンの話もしない…と語っています。すべて観て感じているのだけど、彼はきっと無神論者に違いない。表面上はプロテスタントとかカソリックとかいろいろあるのかもしれなけれど、夢の話、たのしく生きるという話を突き詰めて考える事ができるのは、原子論者に違いないと思うから。
仲間がここにもいた。

おいしい珈琲のつくり方入門 樹楽庵バージョン

何度か書いたのですけど、学生時代に叔父の喫茶店でバイトしていた時に珈琲の作り方について特訓を受けました。それなりに美味しい珈琲を点てる事ができて、わたしの点てる珈琲を飲みに来てくれる人たちも出てきて、それなりに満足してバイトを卒業しました。

私がお世話になったのは珈琲専門の喫茶店でしたから、使っていた器具や豆などは、本格的なものでした。
今も珈琲は大好きですけど、そういう機材は手に入りません。
なので、簡単に家でできるようなものしか点てる事ができないのです。

最近、友人と「珈琲」についての話になりました。
その時の話を少し書いてみますね。
 参考になれば幸いです。

美味しい珈琲を点てるコツは四つくらいあります…

その1.珈琲は粉ではなく「豆」を買って、点てる時にミル(電動/手動では細かさに限界があります)で挽いて使いましょう。
ニトリなどで安いミル(1000〜2000円)が手に入ります

その2.豆の種類は樹楽庵的に分けると「酸っぱい系」か「そうでないか」の二種類です。最近はスタバなどの「フルーティー系(エチオピア産とか)」が出てきましたが、わたしの中ではああいうフルーティーなのは珈琲ではありません(^^
 で、酸っぱい系は避けましょう…モカとかは酸っぱい豆です。スーパーで簡単に手に入る豆は酸っぱい系が殆どだと思います。なので専門店で購入するのを勧めます。豆の裏側に「酸っぱさ」とか「コク」とかグラフになっていたりしますから、酸っぱさ度がマイナススタバならまずは「Cafe・ベロナ」をどうぞ。
※酸っぱい味というのは、果物などは美味しく感じても、他の食べ物はたいてい「傷んできた」時のカンジがしてしまいます

その3.最初のうちは、ちゃんと珈琲スプーンで量を測って点てましょう。
そのうちに「これは濃いなぁ」とか「薄すぎたなぁ」とかいうのを感じてきますから、それで好みの量に近づけていきましょう。

その4.珈琲豆(粉)の保存を冷蔵庫でとか冷凍庫でとか書いてある本やサイトがありますけど、それはやめておきましょう。冷蔵庫から出して使うときに豆や粉に眼に見えない程度の水滴がついていきます。結果的に湿気っていくのを早めてしまうことになります。

少し加えると、お湯の温度が97℃くらいがよいとか、沸かし直しはだめだとか、いろいろ細かい事を書いているサイトがあるので、何度か比較してみた事があるのですけど、結果として、ここに書いた点より大きく作用するとは思えませんでした。

では、珈琲をおたのしみください。

2011年1月6日

今年一番感動した動画 ランディ・パウシュ「最後の授業」

哲学者カール・ポパーが、師板倉聖宣の発想にかなり近い事に驚いて、追いかけています。
ポパーの動画が無いか追いかけているうちに、スティーブ・ジョブスの有名な「スタンフォード大学の卒業式」での記念スピーチに巡りあいました。
何度か観ているので、何気なく通り過ぎようとしていたら、近くに「ランディ・パウシュ 最後の授業」という動画が目につきました。
 ジョブスと並んでアップされている所に重要さを感じて、サイトを開いてみると、
「これはすごい!」


「私が今年一番感動した動画です」、というと、まだ一週間くらいしか経っていないので、大げさなと思うかもしれません。でも、おそらくわたしが今年みる動画の中で、ベストに数える作品だと思います。


 動画が収録された本もかなり売れたらしいのですけど、騒がれている時には手を出さないタイプの私は、それから二年後になってやっと彼の凄さを知りました。
「もっと早くに出会っていれば…」
 そういうセリフを時々耳にするのですけど、私は、今知って感動している事で十分満足しています。もしも知らない人がいたらぜひおすすめしたいと思います。


ランディ・パウシュ…
カーネギー・メロン大学教授。
バーチャル・リアリティ研究者。
彼は二年前に亡くなりました。


  http://www.youtube.com/watch?v=nrFMRuB2lbA


このブログを熱心に読んでくれている人で、この動画はつまらなかった、という人はいないと思います。

2011年1月5日

富士山 その2

前に「この間、富士山に行ってきました」という話を書きました。 
http://kirakuann.blogspot.com/2010/09/blog-post_09.html

それを読んだ方達から数件、問い合わせが来ました。普通の体力で登山は大丈夫でしょうか?
という質問と、
頂上の空気の薄さが心配!
ということでした。

ところで今日、久しぶりに会った職場の友人と、富士山の話になったので、初春イメージでちょうどよいかなと思い、富士山の話を書きますね。

富士山の由来はいろいろあるのですけど、私は、竹取物語(かぐや姫の話)のラストのエピソードが大好きです。

 かぐや姫が月に去る時、かぐや姫に求婚していた侍の大将に不老不死のくすりを渡すのです。大将は、かぐや姫のいないこの場所で不老不死など願わないといい、そのくすりをある山に捨てるのです。それが不死の山と呼ばれ、不死山となり、時代を経て「富士山」となった。

という話です。
つまり富士山は「不死の山」なのです。
自分を主体に考えるのが得意なわれわれ人間は、「その山に登れば不老不死が叶う」と思ってしまうかもしれませんが、言葉そのものからいけば「山が死なない」のです…不老不死の薬を飲んじゃった山なのですね(^^ 
いつまでもその姿を永遠に留める山、不死山です。
ま、山はたいていそうなのです…何百万年スケールでいくと、隆起したり埋没したり、時には大きな爆発で形を変えたりはするのですけど、人間のスケールで見れば全然変わらない姿だと言ってよい。

さて、普通の体力の人で登れるのか?
という質問についてです。
わたしはいろんな山を歩いているのですけど、富士山は、単調で退屈です(^^ゞ
普通の体力で、十分いけるのですけど、それは「時間の関数」を計算に入れれば、という限定つきです。一日で一気に登っちゃおうというのはやめてくださいね。できれば、疲れをみながらペース配分してくれる人が一緒にいるといい。
そこで一つ、かなり有効な裏技があります。

富士山は日本一有名な山なので、たいてい「富士登山ツアー」のグループがいくつもあります。あなたが、一人で登ろうとしているとか、みんな初心者ばかりのグループだという時には、そのグループを見つけて、そのグループの後ろからテクテクついていくといいのです。
五合目で、集団でストレッチしていたり、リーダーの説明をみんなで頷きながら聞いていたり、みんなで気合かけてたりしているいるグループがあったら、それです(右写真)。

 そのグループについて、休憩も同じ様にとってください。給水の時にもちゃんと同じように飲んでください。
たいていはそれでうまくいくと思います。
ただし、偶然宿泊場所が同じだったという事はないので、宿泊する山小屋までは、まずそれでいけます。二日目はどうするか? 事前にいろんなツアーの行程表をwebで入手していてください。二日目の出発は何号目を何時にというように、時には山小屋の名前まで入っているツアーもありますから、それに合わせていくと、また富士登山ツアーが見つかります。一緒に行きましょう(^^

事前トレーニングがどれくらい必要かは、その人の体力に大きく左右されるのですけど、とりあえずは、近くの山を2時間くらいは歩く、という経験を三四回はしていた方がいいと思います。

さて、山頂の空気の薄さについてです。
山頂のゴール100mになったとき、どれだけ苦しいのかと思ってダッシュしたみました。
特に、大変な事はなく、まあ、走ったらこうだよね的なカンジでした。
ですから、空気の薄さというのは気にならなかったというのが私の感想です。
しかし人によっては、敏感な人もいます。
ですから、携帯酸素は必需だと思います。今は、小さなヘアスプレーくらいのサイズで、容量がかなりあるタイプが千円位で売られています。五合目のバスターミナルで売られています。それは買っていてください。
実際、仲間三人は、よく携帯酸素を吸っていました。私は少し吸って、めんどくさかったので、すいませんでしたが、たいていは、酸素を吸うと、気分的にも落ち着きます。

富士山を目指してリタイヤする人も時々はいると思いますけど、3000m級というのは、そんなに途方も無いわけではありません。
最初に書いたように、ペース配分が最も重要です。
無理して頑張れば登れるという事ではないので、無茶のない速さで、休憩もしっかりとってという事でたのしんで下さいね。
注意しなくてはいけないのは、私は沖縄なのですけど、私のように飛行機で移動のある人達は、「機内にガスボンベは持ち込めない」という事を知っていてください…荷物にそれが入っていると(預けるものでも同じ)処分しなくてはいけなくなります。なので「現地購入」で行きましょう。

富士山の質問があったら気軽にどうぞ。

2011年1月4日

英語の勉強 DVD Matrix Revolutions から

久しぶりにDVDを観ています。
Matrix Revolutions.
マトリックス三部作の最後の巻です。

時々「映画ベスト○○」とか
「時代を変えた映画」とか雑誌に載ったりするのですけど、その中にMatrixが入っていなかったら、その選者たちは大したことありません。
ベスト10に入れるかどうかはその人の志向・思考によるのですけど、どこをどう厳しく採点しても50位以内に数えない人物は、映画好きとは思えない。
見る目も大した事がないと思うな。

脇役からしてすばらしい。
たとえばセラフは、数ある空手使いの俳優の中で、私が観たベストです。
メロビンジアンの奥さんの、モニカ・ベルッチなんか、こんな端役で出さないでよっていうくらいの名優です。

さて、「英語」の話。
何人かの方達から、英語に興味があるのだけど、なかなか難しい、というメールを頂いているので、いま観ているシーンから少しだけ書き抜いてみます。

ネオ(救世主/キアヌ・リーブス)とエージェント・スミス(ネオの最強のライバル/ヒューゴ・ウィービング)の最後の闘いのシーンです。徹底的に打ちのめされ続けながらも、立ち上がり続けるネオにスミスが苛立って言葉を吐き捨てるシーンからです。
訳せるかどうか挑戦してみませんか。

スミス You can't win. It's pointless to keep fighting.
           Why, Mr.Anderson,why?
    Why do you persist?
ネ オ Because I choose to.

何となくでよいので、予想を立ててから私の訳を読んで下さいね。
簡単すぎるという人は、ごめんなさい。
英語が苦手だという人は、一つの単語単語が気になって先に進めませんよね。
でも、「エィ」というカンジで大体で訳し続けていくんです。
それから、整った日本語で、つまり作文のように訳してはいけません。
英語の流れのままに、大体でカンジを掴んでいく練習が大切です。
それを続けていく中で、だんだん英語を読み続けるのが苦にならなくなりますよ。

樹楽庵訳
スミス「お前は、勝てないのだよ。意味のない闘いだ。
    どうしてなんだ、アンダーソン、どうしてだ。
    どうしてそんなにこだわるんだ」
ネオ「俺がそれを選んだからだ」


どうでしたか?
半分以上雰囲気がつかめていたらすばらしい。

悲しいシーンを嬉しいシーンだと思ってしまう位、間違う事もあるかもしれません。
でも大丈夫です。
人間を支配する重要な心理学的法則があります。
「必ず慣れる」という事です。

ですから、大丈夫です(^^

では、私は映画に戻ります。

2011年1月3日

カール・ポパーを読む

部屋の片付けをさっき終えて、入手したカール・ポバーの
「果てしなき探求」岩波現代文庫
を読み始めている。
ポパーは、仮説実験授業の生みの親である板倉聖宣の認識論に極度に近い。
「対象に目的意識的に問いかける事によってのみ真理に至る」
という主体的唯物論の立場であり、しかも彼の語る言葉はとても解りやすい。
本人が、「大切な事を難しく語る事は犯罪ですらある」というくらいに、解かりやすさに徹している。
とはいっても、さすがに知らない哲学的固有名など出てきて、全部スラスラわかるというわけではないのですけど、文章の構造としてはすごくよくわかる。

眠い目と、ホコリでクシャミが続く中での読書なのだけど、頭にすらすら入ってくる。
こういう哲学者は、三浦つとむと板倉聖宣とポパーくらいなのではないかな?

彼ははじめのあたりでこう語っている。
「貧困を終わらせることより重要なものはありえない、と私は感じた」13P

マルクスに傾倒し、のちにその痛烈な批判者となり、民主主義とは何か、科学とは何かを追求していった彼の歩みをしばらくは味わってみようと思う。

2011年1月2日

整理ベタ&忘れん坊 考 及び ヨシタケシンスケのススメ & プレゼント付き。

きれい好きの整理ベタって書いたら、優しい方達から
「私もです」
という励ましのメールが届きました。
感謝m(__)m

整理整頓を続けながら、
「どの程度の整理ベタなのか知ったら驚くよねぇ
…本人が驚いているくらいだから」
と思ってました。

心臓の弱い方、怒りっぽい方は続きを読まない方がいいと思います、念のため。
まず、去年の一月に映画館で買った10枚綴りの映画チケットがやっと出てきました(^^
めでたし、めでたし、と思ってはいけません。

有効期限は…
先週で切れていましたす(・∀・)

それから、これも去年のお正月に手に入れた、スタバの福袋。
中から、膝かけとかタンブラーとかに混ざって、飲み物プレゼント券が数枚出てきました。
封筒付きです。

もちろん、これも切れていました。
半年前に(^^)v

<忘れん坊&整理べた>を公言し、
「ま、いいか」
とのんびり付き合っているのですけど、今気づきました。
わたしは、きっとヨシタケシンスケに似ている気がします。
彼もきっと私のような人なのでしょう。
おすすめします・・・http://www.osoraku.com/

ついでに、切れたスタバのチケットと、映画のチケット、ほしい方は連絡ください。
本のしおりなどに使えると思います(^^

仮説実験授業とは何か?

タイトルのリードの部分に
「仮説実験授業」と銘打っているのに、それについては殆ど書いていない事を友人に指摘され、そうだなと素直に反省。
自分にとって仮説実験授業は、とても親密な付き合いなので、特に書くほどのことはないと思ってもいたかもしれません。

仮説実験授業については、web上でもいろいろと語られているのですけど、もっともおすすめしたいのは 仮説社刊「たのしい授業のABC」という本を購入することです。仮説社の方達はとてもフレンドリーで、電話すればすぐ送ってくれます。
http://www.kasetu.co.jp/q_and_a/index.html

それを読んでもらえればあら方わかるのですけど、授業を実践している私のイメージで語れば
「科学上の原理・法則・基本的イメージを、科学者たちの立ててきた選択肢を元に、発見と失敗の歴史を追体験しながら、たのしく身につけていく授業」
という事ができます。
子どもたちも教師自身もとにかく「たのしく賢く」なってしまいます。
ほんとです。

仮説実験授業を世界で初めて具現化・体系化したのは板倉研究室室長 板倉聖宣です。
彼は科学の歴史を研究する中から、自然現象に対して、選択肢を元にした<予想>をもって目的意識的に問いかける事によって<真理>が発見されていくことを明らかにし、それを授業化した偉大なる人物です。
まだ健在で現在80才…知の巨塔としての活動は衰えを見せません。

 
 仮説実験授業の財産は「授業」だけではありません。
 その哲学・発想法・組織論も科学を元にした見事な成果として誇るべきものだと私はおもっています。


これから仮説実験授業の事も語っていければとおもっています。
たのしみにしていて下さい。

売店 樹楽庵 いい本がまた出てきた「夢枕獏 神々の山嶺(上巻)」300円!

 本の片付けがぜんぜん終わりません(^^ゞ 


 ところで、以前、講座の時なのかブログでなのか、オークションに出品したのだか忘れたのだけれど、私が数々読んだ山岳小説の中でベスト3には入れたい作品「神々の山嶺(いただき)」を売った事があります。その上巻がまた出てきました。気に入りの本は数冊持っているので、樹楽庵的には特にめずらしい事ではありません。
片付けっていうのは宝物の発掘みたいです。


 今回はこの本の販売です。
 作者 夢枕獏は、自ら語っているように「登山はほとんど知らない」にも関わらず、これだけの作品を紡ぎ出してしまっているところが、すごいところです。彼の作品では最高傑作だと思っています。


 作品は、事実と虚構を織りまぜながらミステリアスにスリリングに展開していき、推理小説として読んでも全く飽きさせないと思います。


 登山に興味のない人も、
「どうして山に登るのですか?」というニューヨーク?タイムズの記者の質問に対して
「そこに山があるからだ! Because it is there! 」
と答えた登山家がいる事を知っているのではないでしょうか?
 そう語ったのははジョージ・マロリー。世界最高峰のクライマーです。
※ところで、この答えについて、ずっと私は気に入らなくてなりません。そんな事言ったら、そこに海があったら潜るのか? 火星があったらいくのか? そこに本があったら全部読むのか? そこに世界最大のケーキがあったらどうするんだ?
 とか思っちゃう(^^ゞ 
 なので少し書き加えておきますね。あまり知られていないのですけど、マロリーのその言葉については「怪しい」という議論があるのです。
 マロリーの言葉にしてはぶっきらぼうすぎる、というのです。しかも、彼と山を歩きまわった親友が、マロリーはそんな事を言う奴ではない、ときっぱり否定もしているのです。私は当然、ニューヨーク・タイムズの記者の脚色だとおもっています

 話を戻します。
 彼、マロリーは当時、前人未到のエベレストに三度アタックしています。
 そしてその三度目に命を落としてしまいました。


 亡くなった場所が山頂から少し下の部分だったので、今でもマロリーが山頂に向かう途中に亡くなったのか、登頂に成功してあと亡くなったのか謎のままです。
 
 彼の遺体は見つかったのですけど、彼が持参していたはずのコダックのカメラは見つからないままでした。
 彼が登頂に成功していたら、必ずエベレスト山頂の写真を撮っているハズなので、そのカメラさえ見つかれば、登頂成功・失敗という山岳史上最大級の謎も解けるのです。


 さて、夢枕獏の「神々の山嶺」の話。
 物語は、エヴェレスト登山隊に参加した日本人カメラマン深町誠が、エベレスト登頂の窓口カトマンズ街で、一台の古いカメラを見つけたところから始まります。
 そのカメラ〝BEST POCKET AUTOGRAPHIC KODAK SPECIAL〟が、1924年、エベレスト山頂を目指し帰らぬ人となったジョージ・マロリーが持って行ったカメラではないか、という事で話が一気におもしろくなっていきます。しかも、そのカメラの出所を追ううちに深町が出会ったネパールに住む日本人が、伝説のクライマー羽生ではないのかという謎がからみ合っていくのです。舞台は、カトマンズから世界の最高峰エベレストの南西壁に移り、きっとぐいぐい引き込まれてしまうと思います(^^
 ラストのあたり、高い山に登れば登る程、青空のその青は薄くなっていくのか、濃くなっていくのか、その表現が私にはとても魅力的でした。

 残念ながら下巻はまだ見つかりません。
 なので上巻のみの販売です。
 定価各巻1800円を上下巻1800円で手に入ました。しっかり古本ですけど、持っている価値はあると思います。
 つまらなかった時にはご返本可です。

 さて、また片付けに入ります。
 以上。


 売れました! 毎度あり。

売店 樹楽庵 コミック「ブラック・ジャックによろしく」全巻

正月は一日の夕方から二日の未明までずーーーーっと大掃除をしていました。
今もまた始めています。
私は<きれい好きの整理ベタ>の典型で、人生の多くの時間を
「あれはどこにいったかなぁ」
「これが見つからないなぁ」
とか言いながら過ごしているカンジもするくらいです。

新年早々の大掃除は、つもりつもった本、DVD、ビデオテープ、資料の整理整頓のためです。
かつて住んでいた家に本が入りきらないので、新築しようという事になり、収納を工夫しつつ建てたのに、四五年で蔵書の山に収拾不能となり、ここ数年はあきらめてもいたのですけど、今年2011年、なぜか
「そうだなぁ、整理整頓でもしようかな」
という、ヨシタケシンスケのノリで働いています。

さて、物理的に半分くらいの蔵書を処分しなくてはいけません。
ずいぶん捨てているのですけど、
これは捨てられない!
でも二回読むことはないな。
という本もいろいろあります。

まず、コミック「ブラック・ジャックによろしく」全巻をどなたか買いませんか?
全巻セットで1000円/送料無料です。
というか、私が届けます。
申し込みは
kiraku21@gmail.com


なので、わたしを個人的に知っている方限定という事にさせてくださいね。

かつてかなり繁盛していたブログを綴っていた時に
「もしもポケットに五百円玉が数枚入っていたら、すぐに本屋さんに行って買うといい。
というくらい薦めた本です。

今でも内容は古びていないと思います。

わたしのものは、陽に焼けちゃって古びて見えるかもしれませんけど、一度しか読んでいない本です。
すでに読んだ方は、大学生の親類にプレゼントするとかいろいろ活用できると思います。
以上!
  売れました
毎度ありがとうございますm(__)m