2011年12月17日

名言/走ることについて語るときに 僕の語ること 村上春樹 から


紙媒体をデジタル化する日々です。
もう既に数千冊はデジタル化して廃棄するという作業を繰り返してきたのですけど、デジタル化された文章を「読む」という時間はあまりとれません。

ただ時々、自分がメモしたページが見つかって、それをじっくり眺めたりします。


今日は

村上春樹 走ることについて語るときに 僕の語ること 
20Ю年6月10日 第1刷
文春文庫

という作品のページで目を休めました。
私の文字で


Pain is inevitable.
Suffering is optional.

という走り書きがあったからです。

<痛みは避けがたい。しかし苦しみは自らの選択>という意味になります。

なかなか味わいのある言葉だと思います。

そしてそれは、私がカウンセリングをする時に、時間をかけてクライエントさんに伝える内容でもあります。


村上春樹は、自らのマラソンの体験を元にこういう事を書いています。

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 あるときパリのホテルの部屋で寝ころんで、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙を読んでいたら、アフソン・ランナーの特集記事がたまたま載っていた。何人もの有名なマラソン・ランナーにインタビューして、彼らがレースの途中で、自らを叱咤激励するためにどんなマントラを頭の中で唱えているか、という質問をしていた。なかなか興味深い企画である。それを読むと、みんな本当にいろんなことを考えながら、42・195キロを走っているのだなあと感心してしまう。それだけフル・マラソンというのは過酷な競技なのだ。マントラでも唱えないことにはやっていけない。
 その中に一人、兄(その人もランナー)に教わった文句を、走り始めて以来ずっと、レース中に頭の中で反郷しているというランナーがいた。Pain is inevitable. Suffering is optional.それが彼のマントラだった。正確なニュアンスは日本語に訳しにくいのだが、あえてごく簡単に訳せば、「痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル(こちら次第ごということになる。たとえば走っていて「ああ、きつい、もう駄目だ」と思ったとして、「きつい」というのは避けようのない事実だが、「もう駄目」かどうかはあくまで本人の裁量に委ねられていることである。この言葉は、マラソンという競技のいちばん大事な部分を簡潔に要約していると思う。
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Pain is inevitable.
 Suffering is optional.

 村上春樹のこの作品のタイトル「走ることについ語るときに 僕の語ること」は、妙に間延びしていてあまり好きではありません。
でも、この言葉は、なかなか味わいがあるなぁと思います。

 寒くなりました。
 クリスマスはもうすぐです^_^